●地球の反対側、気質のまったく異なるブラジルに行って、どのようなことを感じましたか?
ブラジルは素晴らしい国ですが、発展途上の国で、さまざまな問題を抱えています。先住民であるインディオを含め、世界6大陸から100を超える民族が集まり形成しています。宗教や哲学ものの認識や考え方が違う人達が隣り合わせで生活をしています。それを一つに束ねることは大変に難しいことだと実感しました。しかし、とても素敵なことだと想ったんです。僕が彫刻に使っている素材は石です。その石も様々な鉱物が融合し、あらゆる色彩を産みだし、一つの岩石を創りあげている。ブラジルとのある種の共通点を見つけたんです。
●そこから今回の個展のテーマ「愛・生命・石」に結びついてきたようですね。
おそらく石の中には我々現代人が、未来へ飛躍するためのさまざまな「秘密」というか、手ほどきのようなものが記されているのではないかと私は考えています。美術の分野だけではなく、より大きな領域の中で、鉱物に印された秘密を解明してゆけば、将来の展望が開けるのではないかと感じたのです。彫刻家として、作品だけでなく、言語を通しても発言していきたいと想いました。それがこの度の「愛・生命・石」というテーマに結びついたのだと思います。 |