第53回 奥村美佳
2006年、第3回「東山魁夷記念日経日本画大賞」を受賞した創画会所属の奥村美佳、21世紀における日本画のひとつの姿を示した若き閨秀画家である。古今東西のあらゆる芸術家が歴史的に表現してきた自然への憧憬と畏怖を一人の人間として表現したものであるかのようでもあり、画面をとおして、自然と人間、自然と人工との関係性を問いかけてもいる。大胆な構図と繊細な表現、「かなた」シリーズでは、時間と空間の遠近の複雑なパラメータを解析する数学的な解を描いているようだ。「神は細部に宿る」という、芸術の神もやはり細部に宿っているのではないだろうか。個展会場で、奥村の今を聞いた。
|