山本タカト 幻色のぞき窓
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高橋美江 絵地図師・散歩屋
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
もぐら庵の一期一印
文人閑居して文字に遊ぶ

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今月の写真
都内下町のある喫茶店で見つけたリンゴ。よく見れば表面の模様は日本地図に見えない?ちゃんと私に向かって地図面を見せてお座りとは、まあ、コ憎らしいリンゴじゃありませんか。 (2009年4月・谷中にて撮影)

イントロ  リンゴ地図が出たところで、最新の絵地図の話を……ですが、その前におわびを。私の個人的な都合で更新がだいぶ遅れたことをお侘びします。次回は遅れた原因の、そのことについて話をします、人が亡くなるということ。父が亡くなりました。最初から次回の予告ですみません。
 ちょっと出だしが暗くなりましたが、今回は地図の話題を2つご紹介します。ひとつは最新作「南太田・吉野町・阪東橋エリア」を、実際に歩いた気持ちになるようにご案内します。もうひとつは画期的な地図の話。絵地図プレゼントもあるので最後までおつき合いのほどを〜。



子どもたちが作った地図 最新の絵地図、描いた場所は横浜の南区で「南太田・吉野町・阪東橋エリア」の地図。南区って、どこかわからない? 横浜といえば中華街、元町、みなとみらい、横浜球場などを思い浮かべると思うが、そのほぼ西側に位置するのが南区。1月にNHK番組の散歩コーナーで「横浜の下町めぐり」と称して南区を紹介したが、関内から歩いても行けるその距離にこんな下町があったなんて……とスタッフも驚いていた。 お洒落な港町のすぐ隣のコテコテ下町・南区を盛りだくさんにご案内しよう。
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 最初は京急南太田駅そばの“どんどん商店街”にある「前川商店」へ。業種は米屋だが、豆や乾物、カップ麺、果ては鳥かごまで売っているお店。豆は昔ながらの量り売りで単位はグラムでなくデシリットル。なんだか懐かしい響き「デシリットル」って。私たちはグラム、つまり重量で考えることに日々慣れているけれど、豆は容積で考えた方が分かりやすいということがわかった。長年使い込んだ枡がさり気なくあるのはそういう意味。ここで買った黒豆を煮てみたら、ふっくらとツヤのある美味しい黒豆ができた。新鮮な豆であることと、ここの奥さんがレシピをくれて黒豆を煮るコツを教えてくれたのが勝因。対面販売は情報までサービスしてくれる。
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 ブルーライン(横浜市営地下鉄)吉野町駅そばにある甘納豆屋「おもや」は大正12年創業。店の奥で、3日ほどの工程を経て作り出された甘納豆が、毎日店頭のケースに出される。その日できたものをその日に売るのが創業以来のモットーだそうだ。口当たりがソフトで豆の味がしっかり出ているのには驚いた。甘納豆にも“できたて”があり、美味しいということがわかった。
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 お隣の阪東橋駅近くには「横浜橋通商店街」。350メートルのアーケードに130軒もの店がひしめき合う活気のある商店街だ。私がいつも利用するのは韓国食材店「福美高麗人参店」。白菜キムチはもちろんのこと、ゴマの葉のキムチやチャンジャなど本格的な韓国総菜にありつける。同種の店がこの商店街には多いが、この店が20年前に最初にでき、その後同じような店が増えてきたという。こんな情報から地域性も見えてくる。
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 魚屋、八百屋、花屋、ブティックとここへ来れば何でも揃うが、今回発見したのは主に揚げ物を扱う「栃木屋惣菜店」。暮れに商店街に来た時に祝・80周年の大きな旗が商店街を飾っていたが、同じ80年の歴史を持つのがこの栃木屋さん。この店を見つけたきっかけはエビフライ。ショーケースの中のエビフライが立っているのだ。そしてよく見れば、他の揚げ物もお行儀よく整列し、そして立っている。「おぉ〜!」と、最初見つけた時は感動した。揚げ物は大きくはフライ系と天ぷら系に分かれ種類も多い。ショーケースの端に“ハムフライ”の表示を見つけた。これは俗に言うハムカツ、懐かしさいっぱいのハムカツではないか。お店の方に話を聞けば、中身のハムが魚肉ハムだから、独特な風味があるそうだ。揚げたてのハムカツにソースをサッとかけたものを口にした瞬間、懐かしさと感動が口の中にも広がった。揚げたての熱々をいただけるのも対面販売の商店街だからこそ。デパートの食料品売り場ではこうはいかない。
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 横浜橋通商店街を抜け、通りを渡ると「三吉橋通商店会」。横浜橋通商店街とは対照的にこじんまりとした商店街であるが、下町の雰囲気を残すところは同じだ。「三吉演芸場」はこの商店街の一角に立ち、地元や横浜周辺をはじめ遠方からのお各様も多い。大衆演劇という日常とかけ離れたエンターテインメントの場がここにあり、このハレの場を求めて時間前には入口階段に行列もできる。今は新しくなったこの劇場とは縁があり、私は20年ほど前に取材がきっかけでここを知った。当時は1階が「草津温泉」という名の銭湯で、その脇の階段を上がると演芸場があった。その頃、英会話を習っていた私はアメリカ人の先生をここに案内し、1階の銭湯を出たあとに演芸場を観るというコースを試みた。もちろん、先生は大喜び。だって、本物のチョンマゲを結った日本人に会えたのだから。大衆演劇は2〜3部構成になっており、歌謡ショーとお芝居の組み合わせ。1月に訪れた時は日替わりで芝居が変わり、ランチじゃないんだ芝居の演目が日替わりと聞いて驚いた。テレビの収録用の短い時間ではあったが、歌謡ショーと芝居を同行のお散歩仲間と楽しんだ。

 簡単に南区の一部をご紹介したが、下町だレトロだと感傷にひたるだけでなく意外な発見があったことがうれしい。今回歩いたのは2月に完成した「南太田・吉野町・阪東橋エリア」地図の地域だが、ここを実際に歩きたいという方に絵地図をプレゼントします。
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◎参考HP
  http://www.city.yokohama.lg.jp/minami/upimg/8066-article.pdf
 (横浜市にお住まいの方は南区役所などでも地図がもらえます)



子どもたちが作った地図  私の絵地図を使ったiPhoneアプリが3月2日に発売になった。今時GPSなんてさして珍しくはないが、手描きのアナログ絵地図がGPSに連動していて、それって結構スゴいことらしい。スゴいことがもうひとつあり、発売1週間でナビゲーション部門での売り上げが2位に輝いたのだ。ワォ〜。私もiPhoneを購入して試してみたが、自分が絵地図の中に入っていくようで何となくワクワクしてくる。絵地図上の各ポイントごとの解説文もついていて、さらに、その場所でツイッターの投稿やiPhoneのカメラで写真を撮って編集する楽しさもある。こういう新しい絵地図の使われ方もいいもんだと感心。あとは皆さんにこのアプリを購入していただき、まち歩きを楽しんでいただければ……とヒット祈願を願う今日この頃。お試しあれ〜。

◎参考HP
 http://www.sstw.co.jp/mobile-apps/apps/tokyo-shitamachi-sanpo/
 http://www.miesan.jp/mei_jiangsansaito/iphoneGIS_NEXT2010.1.html




 


プロフィール
  プロフィール

高橋美江(絵地図師・散歩屋)


1953年生まれ。東京都出身。生粋の江戸っ子。武蔵野美術大学卒業。高橋デザイン室主宰。グラフィックデザイナー、イラストレーターの枠を超え、行政や企業のイベント、商品企画をも手がける異色派。絵地図師として全国200ヶ所以上の絵地図を制作、その取材で得た経験をもとに、NHK文化センターでまち歩きの講座を3クラス持つ散歩屋でもある。専門は、まちの「ハレ」と「ケ」を見つめる『お散歩民俗学』。

【高橋美江公式HP】
http://www.miesan.jp/

【TV出演情報】
NHK 総合「こんにちは いっと6 けん」の 『とっておき東京便』は偶数月第4金曜日に出演。次回4月23日は『古河(茨城県)』をお散歩します。
今年は東京だけでなく、一都六県を対象にまち歩きをします!
番組開始時刻は11:05AM〜。

【まち歩き講座】
NHK文化センター青山教室、横浜ランドマーク教室でまち歩き教室を開催しています。
●青山教室「人・まち・味の出会い旅」
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_442724.html
●横浜教室
「新・東京下町小さな旅」
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_440650.html




●横浜市南区の商店街地図の第二弾
「南太田・吉野町・阪東橋エリア編」を差し上げます!
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Eメールにて、お名前、送付先ご住所、高橋さんへのメッセージをご記入の上、件名に「横浜市南区商店街地図(第二弾)プレゼント応募」と記してご応募下さい。4月20日締め切り、応募多数の場合は抽選の上、当選者に発送いたします。