道路標識「飛び出し坊や」の絵で広く知られることになった木津文哉は、ブリキのおもちゃの骨董品的な価値が社会的に認知されていく時代の美の発見者だ。画壇が、具象派と現代派に分かれた1960年代の時代風俗を身近に引き寄せながら、対立する両者を普遍化するテーマを提示したのである。木津のテーマこそが「Jポップ絵画」の創出を意味する。西洋絵画の写実の王道を踏まえながら、絵画から造形へという時代を背景として、物理的な三次元絵画の可能性を見据えて、トリックアートのごとき迫真性を追求している。