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やなぎ:完全に私の妄想でしたね(笑)。作品と一体化して恍惚と描いていると思っていました。
諏訪:むしろ無理やりやっていますね。ただ、単純作業がある線を超えると瞑想状態に近い感覚を得る時もあります。割と自動的にやっているのかもしれません。
やなぎ:気がついたら髪の毛ができていたみたいな。
諏訪:そうそう(笑)。
やなぎ:そんなことはないと思いますけどね(笑)。
諏訪:(笑)その時間には頭が違う動き方しているのでしょうか。
やなぎ:私は学生のときに工芸をやっていて、途中からハンドメイドで同じマテリアルを作るという“集積アート”に変わりました。そのときは肉体が勝手に動いて、気がついたら作品が完成していて、すごい疲れているみたいな。覚醒しているのかよくわからないところで朦朧と作っている感じがした。作品と自分が一体化しているような魔力があるんですよ。写実の場合、そこまで朦朧とすると描けなくなるのでは?
諏訪:編み物やパターンを繰り返すようなかたちは女性特有の傾向に感じます。ある意味私の瞑想状態と似ているのかもしれませんが、基本的に描写は意識的な作業のみで成立します。熱狂のうちに埋没できるのはある種の才能だと思います。
やなぎ:これは自分が描いたんじゃなくて誰かが描かせてくれた作品です、とかいう人いるじゃないですか。 |
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