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佐々木:ところでこの前のオークションで草間彌生の作品が5,000万とか、ニューヨークで村上隆や奈良美智が何千万とか。ギューちゃんはオークションとか商業スペースではゼロなの。
篠原:ゼロ。
佐々木:でも作品は日本の美術館にほとんど入ってる。
篠原:うん。
佐々木:あなた前衛の巨匠なんですよ。これは言葉の矛盾なんだけど。
篠原:巨匠じゃないよ。
佐々木:が、普通の絵描きになったと思う。ネオフォーブのね。これからもすごいエネルギーを発する絵描きだね。だから割と絹谷幸二に近くなってきた。
篠原:そのうちまた違うチャンスが出てくると思うよ。だから愛知万博なんかでも人間国宝の狂言師や笛奏者といっしょになってやるのよ。まあ俺も国宝級なんだよね。
佐々木:そりゃ国宝級だよ。だって73歳で生き残ってる人だもの。
篠原:なんかなぁ、生き残りって言うなよ。
佐々木:だって後ろ見ると死屍累々でしょ。
篠原:頼むよー。俺まだ食いてえ物いっぱいあるしさ。
佐々木:池田満寿夫も晩年は自分の作品が残るか非常に気にしてた。「タエコの朝食」は残るけど、映画は残らないとかね。
篠原:そんなこと気にしてたらだめだね。だって作品なんか美術界に腐るほどあるしさ。
*「アート・トップ」205号(8月20日発売)よりテキストを一部抜粋して制作しました。
◇資料提供:ギャラリー山口 |
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