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冨田:たて続けの個展ですね。何かプランがあって、同じ期間に絞ったのですか?
滝口:本当に偶然なんだ。あくまで結果としてだけど、3つの状態から作っていった。
冨田:3つの状態というのは?
滝口:「言葉」から導き出された3つのテーマみたいなものだね。
冨田:こちら(遊)は花器中心、三越では木に引っかけたりして、外部に支持体を必要とする造形。高島屋では、それとはまた違った大きめのオブジェでしたね。
滝口:高島屋の個展は、ずっと続けてきた「無題」シリーズの引き続きだから、他の2つとは別種だね。焼き物で何かを作るという大前提は変わらないけど、今はほとんど言葉遊びばっかりだね。
冨田:滝口さんの作品タイトルには、「無題」シリーズと、逆に、詩のようにたくさんの言葉を散りばめる場合と、二種類ありますね。
滝口:むしろ「無題」の方が「言葉」が多いかな。僕の中にいっぱいある言葉を吐き出し続けてもキリがない。だから、「無題」にしてるんだ。僕は「言葉」によって枠だけ設定して、後は作品を見た人それぞれの中で広げてもらいたい。だから作品そのものを投げかけて、どのように感じるか、どんな言葉を生み出してくれるのかっていう期待がある。……けれど最近、そのあたりがスベるね。
冨田:スベるって何ですか(笑)?
滝口:あまり話をし合わないみたいね、モノと。『これは一体何だろう』というところから、内面へ問いかける人が少ないのかな。鑑賞することで自分とモノとのきっかけは出てくるけど、自分の暗部まで表すような「言葉」が出てくることは少ないね。すごく解りやすいかたちを作ったつもりなんだけど作品に入り込んでいけない感じがする。 |
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