高橋美江 絵地図師・散歩屋
窪島誠一郎「ある若い画家への手紙」−信州の二つの美術館から−
もぐら庵の一期一印
2005
2006
2007
金井訓志・安達博文
クラウディア・デモンテ
森田りえ子VS佐々木豊
川邉耕一
増田常徳VS佐々木豊
内山徹
小林孝亘
束芋VS佐々木豊
吉武研司
北川宏人
伊藤雅史VS佐々木豊
岡村桂三郎×河嶋淳司
原崇浩VS佐々木豊
泉谷淑夫
間島秀徳
町田久美VS佐々木豊
園家誠二
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林アメリー
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深沢軍治
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杉浦康益
上條陽子
山口晃vs佐々木豊
山田まほ
山田まほ
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'Round About


第30回 森田りえ子 VS 佐々木 豊

※画像はクリックすると拡大画像をひらきます。   
  着物も髪飾りも本当にディテールに神が宿る(森)  
   
   
   
 
憧れの地に居を求めて
佐々木:松園といい、石本正といい、森田りえ子といい、やっぱり京都人が舞妓を描くからホンモノに見える。あづま男が舞妓を描いても、日本人が演じる赤ものみたいなもんで、嘘くさくなっちゃう。
森 田:それはイメージだけです。私は神戸生まれですし。
佐々木:千年来の文化の都には、創造意欲を掻き立てる場の力みたいなのがあるでしょ。
森 田:最近そういうことを考えますね。この前も能楽師やお茶の若宗匠とお話をして、「都人(みやこびと)」の誇りをまざまざと感じましたが、京都って面白いところで、地の人も大事だけれども、外からの新しい息吹、才能も、すごく敏感に察知して受け入れてくれる抱擁力を持っています。
佐々木:奥が深いよね。
 
森 田:私、今、紅葉に凝っていて、あらゆるところで紅葉を写生しているんです。先日、妙心寺に行ったら、さほど有名ではない庭園ですけど、紅葉と松の対比が実にバランスよく配置されていて感動しました。今度これを写生しようと思うんですけど、そういう観光スポットでない、気の利いたセンスのある隠れ名所がたくさんありますね。
佐々木:今の住まいは……。
森 田:上賀茂の大田神社の近くです。大田神社には天然記念物で有名な燕子花(かきつばた)の池があります。学生時代、写生に訪れて以来、静かなこのあたりの風情が気に入り、いつか住んでみたいと念じていたら実現しました。
 
 
金閣寺障壁画に挑む
佐々木:今度、金閣寺の障壁画を描くんですって。何を描くかは決まりました?
森 田:杉戸絵と天井画に四季の草花を描こうと考えています。
佐々木:どれぐらい規模で?
森 田:襖二枚分の一つの絵なんですけどね、それを四点。それと四十号ぐらいの天井画です。杉板の木目は美しいけれど、かなり存在感があります。木目を生かしつつ、それに負けないたっぷりしたフォルムの草花にしようと心がけています。
佐々木:期限も決められてるの?
森 田:今年の八月末日が締め切りです。
佐々木:齢なのかなあ。年々京都が好きになっていく。完成したら顔パスをぼくのために発行してね。
 
   
 
アート・トップ214号より抜粋) 
 
  

 

森田りえ子(もりたりえこ)
1980年 京都市立芸術大学 日本画専攻科(現大学院)修了
1981年 第7回春季創画展 春季展賞
1982年 第3回東京セントラル美術館日本画大賞展 佳作賞
1986年 第1回川端龍子大賞展 大賞受賞
1990年 第1回菅楯彦大賞展(倉敷市立博物館) 準大賞・市民賞受賞
1991年 現代日本の屏風絵展(ヴィルトシャフト美術館/ドイツ)
1992年 いのちの賛歌ー日本画百人展(京都文化博物館) 京都府買上
1992年 京都府文化賞奨励賞(海外研修)受賞
1993年 日本秀作美術展(高島屋/東京・大阪)・94・01
1995年 ユニオン造形デザイン賞受賞
1997年 「タカシマヤ美術賞」受賞
1998年 第1回NEXT展(高島屋/京都)以後毎年
 

 

2000年 「それぞれの風・波・音ー川村悦子・三尾公三・森田りえ子三人展」
2000年 (高島屋/大阪・京都・横浜・東京・名古屋)
2000年 京都市芸術賞新人賞受賞
2003年 光が丘美術館開館10周年記念個展
2007年 金閣鹿苑寺方丈落慶法要にあたり天井画および杉戸絵作品制作
2007年 各デパート、画廊で個展多数
2007年 現在、無所属、京都在住。
 
  

 

■森田りえ子・展覧会予定
「京・華・暦−森田りえ子展」
 2007年3月3日〜 18日
 ぎゃらりぃ思文閣 TEL:075-761-0001

 http://www.shibunkaku.co.jp/

 

 

●お知らせ
 金閣寺杉戸絵・天井画の完成を記念して、
 08年5月に森田りえ子 新作リトグラフ「カトレヤ」が発売になり
 ました。

 
  

 

佐々木豊(ささきゆたか)
1935年(昭和10年)名古屋市に生まれ。
愛知県立旭が丘高校美術科、東京芸術大学油画科、同専攻科卒業。1992年、第15回東郷青児賞を受賞。国画会会員、講談社フェーマススクールズアドバイザー。
主な著書に「浮気な女たち」「構図と色彩」「はじめてのクロッキー」、「絵に描けなかった絵の話」・「泥棒美術学校」「画風泥棒」・そしてこの対談も収録されている待望の最新刊「プロ美術家になる!」が 2008年4月に刊行。(芸術新聞社刊)「佐々木豊画集−悦楽と不安と−」(求龍堂)など多数。