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もう1冊、手元の矢野目本を見てみよう。こちらは『おたのしみ艸紙』から6年後の昭和30年・美和書院刊の新書判。『席をかえてする話』。いいタイトルです。
カバー袖のコピーに
ヴィヨンの粋訳、美容学の始祖、フランス小咄
の矢野目源一氏が、ハウザー式精力法の余滴をふ
るった珍談綺譚、随筆ならぬ粋筆のかずかず。そ
の道この道求道の士待望の書遂におめもじ。
坊やお寝み時間の特集版。
と、なかなか要を得た達者な文。
本文の内容は、こちらは小噺というより、随筆集。たとえば「銀座酒場昔語り」では、中学の卒業のお祝いに、なんと女給のサービスで知られたカフェー・ライオンに入り「五色の酒(ブース・カフェ)」というリキュールを飲んだ話なども語られるが、ほとんどは東西の艶笑うんちく話。
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これも矢野目源一『席をかえてする話』(昭和30年・美和書院刊)。当時、このような新書が流行したのです。といってもぼくはまだ中学生になるか、ならないかの年。 |
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