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丸善で入手したもう1冊のジャン・コクトーの『怖るべき子供たち』(角川文庫)、これも早速読んだ。元本は昭和5年白水社から出版されたもの。いつもの癖で、つい奥付を見る。
この角川文庫版、初版は昭和28年、私が入手したのは平成21年の発行で、なんと64版!ロングセラーの本だったのですね。
ところでこの『怖るべき子供たち』は端正な訳文。もともと東郷の書く物は、粋筆とはいえ、文章は折り目正しく、スマート。彼のジャケット姿のように。
『怖るべき子供たち』の巻末には訳者・東郷自身による「あとがき」が付されているが、その最後の2行
コクトーはこの詩小説をかつて子供だった自
分自身の魂で書いたと思われるし、私は私で、
子供のころの秘密が次から次に暴露されるよう
な気がして狼狽(ろうばい)した。
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東郷青児訳、ジャン・コクトー『怖るべき子供たち』(平成21年、改版64版・河出書房刊)。弟を愛する姉が仕掛けたワナが2人の死を引き寄せる。コクトーは詩や小説の他、イラストレーションを描き、映画まで作った前衛的総合芸術家。 |
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