高橋美江 絵地図師・散歩屋
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坂崎重盛 新刊・旧刊「絵のある」岩波文庫を楽しむ
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外山滋比古 人間距離の美学
もぐら庵の一期一印
その17−ガンバレ、学長!! 負けるな、テッチャン!!!

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 さてさて、ここまで酒と松本先生の話をしてきて、芸工大の松本哲男先生のことを、忘れる訳にはいきません。なにしろ松本先生のことを思い浮かべると「カンパァ〜イ!!」と乾杯をしている姿がすぐに想像されてしまうほど、お酒が大好きな先生なのです。僕自身、芸工大に来てからのここ数年で、先生と一緒に何度「カンパァ〜イ!!」をしたことか。単純に考えただけでも、百回や二百回ではきかないと思います。ともかく体力勝負的に、ガンガンやってきました。それとともに芸工大の日本画はモリモリ盛り上がってきたのです。
 ところがこの春サプライズだったのは、その松本先生が芸工大の学長になってしまった!!ことでしょう。学長という仕事は、前任の小沢先生の働く姿を見ていても思っていたのだけれど、モノスゴーク大変な仕事なのだと思います。なにしろ大学という所は、例えば僕のような「ワガママ人間」の巣窟なのですから。ちょっと考えただけでも、「これは大変なことになってしまった…。『カンパァ〜イ!!』は、どうなってしまうのだろう!!!」と、ほんの少しだけ心配でした。でも、僕なんかが心配しなくても、あれだけの絵を描く人間だし、持ち前のあのパワーとスケールで、きっとなんとかしてしまうでしょう。それに、松本先生という人は、なにより生徒一人一人のことを、本当に大切に思っている人なのですから。
 ガンバレ、学長!!負けるな、テッチャン!!!
 学長就任を記念して、この春、学内で松本哲男展が開催されました。(展覧会の模様や先生のインタビューは、ラウンドアバウトで紹介されているので、どうぞそちらの方をご覧下さい。)僕から観た松本先生の作品の魅力は、やっぱりなんと言っても、あのスケール感ですよネ。こういうデッカイ風景は、誰だってスゴイと思うし、感動してしまうのだけれど、でも、そのスケール感をそのまま絵画的な感動に置き換えることができる人は、そんなにいるわけではありません。それは、単なる豪快さや大胆さでは、表現できないからなのです。それが出来たのは、僕の知っている限り、近代の日本画家では、横山操ぐらいなのではないでしょうか。それは、しっかりとした絵画的構造を持ち、豪快でありながら、繊細で細やかな優しさで作品が覆われている。
 例えば、松本先生の作品で言えば、あの執拗に描き込まれた細部。その細部の一つ一つには、作者の祈りや愛情が込められている。そしてそれらが、画面の隅々まで描かれている。そういった気の遠くなるような作業の果てに、松本先生作品は魅力を放っているのだと思います。
 しかしそれでも、先生は自分の作品に満足していない様子で、一緒に酒を飲んでいる時も、「これは、だいぶ悩んでいるな。」と感じる時が時々あります。諦めずに、自分への挑戦を捨てずに、泥んこになってがんばり続ける姿は、作家として尊敬できるものです。
 ……なんて、ついつい、エラそうに先生について語ってしまいました。
 おゆるしください!失礼しました!!
   
  【インフォメーション】
岡村先生の個展が開催されます。お近くにお出かけの際は、ぜひお立ち寄り下さい!


 

眼龍06-2(部分)
展覧会名 岡村桂三郎展
会場 高橋コレクション
東京都新宿区西五軒町3-7 ミナト第3ビル
 tel:03-5228-1651
 http://www.takahashi-collection.com/
会期 2006年6月30日(金)〜2006年8月26日(土)
*金・土日のみ開場、8月11・12日は休み
時間

11:00AM〜7:00PM


   

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