今年京都は、源氏物語千年紀を迎えた。作者・紫式部の日記に、 1008(寛弘5)年には源氏物語がすでに宮中で読まれ話題になっているという記述が見られるということから、今年はちょうど千年となるわけだ。その記載があるからといって、源氏物語が1008年から始まったのではないのだが、便宜上、 今年が千年目、源氏物語千年紀となった。
京都では、平安京の出来た794年から数えて1200年目の1994(平成6)年に「建都1200年」というイベントを大々的に行ったことを思い出すが、今回の源氏関連も、すでに様々なイベントや展覧会なども開かれている。雑誌もテレビも、結構盛り上がっている。数多いイベントの中でも目玉的なものとして、この4月26日から京都文化博物館では「源氏物語千年紀展」が行われた。これは見逃すまいということで、さっそく出かけてみた。ぼくが行ったときは、まだ、さほどでもなかったが、後半は大変なお客さんだったそうだ。
京都文化博物館は、市内中心部の三条高倉にある。かつて明治の頃に日本銀行京都支店があったところで、今は重要文化財に指定されていて、当時の煉瓦造りの外観を維持している名建築。展示や展覧会を行う博物館自体は、その北側に新たに作られた現代的なものであるが、内部は随所に京都の町屋を再現したりして芸が細かい建物。事業も京都の文化にドンぴしゃの企画展が多くあるので、京都に訪れる機会のある人は、上洛前にチェックしておいても損はない。
源氏物語千年紀展は、渾身の展覧会である。準備が入念にされていることがよくわかり、展示効果も和風をうまく使った非常によいできばえで、源氏物語を多角的に見ることが出来る。個人的には、出陳されているとは予想もしなかった高野切本古今和歌集第1種を見ることが出来て、大感激。書はほかにも桂本万葉、とか、粘葉本和漢朗詠集、定家の明月記なども出ていた。どれもやっぱりすばらしい。絵画も絵巻物や屏風など、かなり多くの出品で十分に堪能できる。キャプションや解説も過不足なく、理解に貢献していた(6月8日まで)。
そのほか源氏物語関連のイベントは非常に多く、便乗商品みたいなものも京都のあちらこちらで見られるが、じつはわれわれのグループである水穂会の水穂書展も、今年「源氏物語を書く」というサブテーマを設けて、少し便乗させてもらうこととなった。源氏物語54帖を一人にひとつ割り当てて、54名プラスアルファの作家がその部分を独自の作品として完成させるというもの。
ぼくははじめから3つめの「空蝉」というところの担当で、縦240センチ横120センチという大きな紙に和歌1首を書いた作品を出品する。それと、「若紫」という帖の担当者が急病になったため、急遽その帖を古筆風の小字かな作品で出品することになった。6月25日からの会期なので、よければ、ご光来下さい。
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※画像はそれぞれクリックすると大きな画像をひらきます。
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京都文化博物館を三条通から見たところ。かっこいいでしょ。京都にはこういう近代の建物も結構あるんです。 |
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「源氏物語千年紀展」の会場入口。もちろん中は撮影禁止。でも、展示だけでなく、しつらえもバッチリでした。 |
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水穂書展の案内ハガキ。京都市美術館は左京区岡崎というところにある。この建物の外観も歴史的。平安神宮の大鳥居の前なんです。 |
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今回出品する小字の作品の原稿。お見せするようなものではないですが・・・ |
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