往復の時間もかかり、ワークショップのための材料集めの意味もあり今回は2泊3日。村へ到着してすぐに村内視察で「机浜の番屋」を見学。番屋とは、漁師さんが漁具や海産物を収納したり、寝泊まり目的で建てられた作業小屋のことで、ここ机浜には20数棟の木造番屋が残されていて、これがなかなかいい風景なんだ。日本の漁村に残る原風景のひとつなんでしょうネ。「未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選」として選ばれたこともあり、最近は観光資源としての価値が見いだされ、漁師さんによる番屋ツアーも人気だそうだ。
そして海に目をやれば、これまた漁師さんが小型の磯舟でガイドする「サッパ船アドベンチャーズ」が。私もこのクルージングに参加したが、いや〜海があんなに近くに見られて、ダイナミックで美しいこと楽しいこと! 入り組んだ岸壁や岩の間をくぐり抜けるさまは、小回りが利くサッパ船ならではの妙技。海を体感できるこのツアーは超おすすめ。ここで私が発見したモノは、ページ後半の『気になる風景』で紹介。
さて、もうひとつの驚きというか感激は「食」。現在、休業中の老舗旅館・本家旅館に、村役場担当者の特別なはからいで泊まることができた。そこでも感動の嵐に出会った。見てください、この料理! これが感動でなくて何なのだ?!
食材の豊富さ、新鮮さはもちろんだが、全ての料理が手作り。小鉢の和え物から焼き物まで、手間をかけた料理に圧倒された。この村の豊かさを実感した瞬間だ。豊かさとは、海の魚場としての豊かさと、それを料理する知恵とおもてなしの心の豊かさだ。
詳しいワークショップの内容は省略するが、ひとつ紹介したいのは「イメージ文字」。参加者にB5ほどのペーパーを配り、田野畑を表す漢字一文字を書いてもらうもの。ワークショップの最初に行なうちょっとしたウォーミング・アップ。ペーパーを回収して出てきた文字は、海、緑、静…。1人の方が造語?と思える、山偏に「海」のつくりである「毎」を書いて出してくれた。このアイデアには脱帽。なるほど、ここは海にも山にも恵まれた特異な地域性がある。
私もイメージ文字を考えた。書いた文字は『素』。田野畑で出会った方々が実に素直で素朴で、海から採れる素材食材は豊か。それらがうまく絡まれば『観光の素(モト)』になる可能性を秘めているから。これからの田野畑村の動きに注目だ。 |