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いわゆる彫刻材と呼ばれるものは、代表的なもので、 、 、 、 、 、 ……、などなど様々。「代表的な」と書いたのは、過去に仏像や工芸品や美術品などにより多く使われてきたということであって、いってみれば「彫刻材」というのは愛称のようなものであり、実際には決まり事はなにもない。ただし、木によっては、とても堅いもの、柔らかいもの、 りや狂いや割れに対して安定したもの、動きの大きいもの、木目の美しいもの、大らかなもの、ヤニの出るもの、出にくいもの、そういったそれぞれの特徴があるので、そこから自分の創るものに合わせて選ぶことになる。なにより五感で接するものなので、自分との相性というのも大事な部分だ。
そんな様々な木の中から、美術大学の彫刻科に入学すると、今も昔もまず手渡されるのが「 」。一般的にはわりと堅木の部類に入るのだけれど、彫刻材としてはとても彫りやすい。幹も太く育つので、材としての量が比較的たっぷり採れるところも重宝されている理由かもしれない。以前はそれに加え価格も手頃であったのだけれど、年々、 自体が採れなくなってきていることから値上がりしていて、同時に太くて目の詰んだ材も少なくなってきているのが現状だ。金属や粘土などと木材との大きな違いは、塊になればなるほど価値が高くなるという事。金属や粘土は目方が倍になれば価格も倍だけれど、木材は太さが倍だと、価格は何倍にも跳ね上がる。そして、なによりその質によっても価格はピンキリだ。木材を取り巻く状況は厳しくなる一方なので、美術大学で を支給する事が出来るのも時間の問題かもしれない。 |
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