|
|
アートフェア自体も、この十五年くらいの間に随分と状況が変わったと思う。当時は“いかにも”な業界の祭典であったのが昨年の「アートフェア東京2007」あたりから、急激にポピュラーになってきたように感じる。来場されたお客様との会話の中でも、休日にフラッとフェアに遊びに来て、「これ気に入った!」と一見で購入してくれるようなお客様も増えてきた。時代が変わってゆく過渡期を肌で感じる事が出来るのは、今のこの時、美術家をやっていることの幸せかもしれない。
けれど、アートフェアが一般的になってゆくことと引き替えに、徐々に出展作品が小品化していることは、個人的には残念な現実だ。ブース自体が小さくなっていることもあるが、やはりアートが世の中に浸透してきたことで、“魅せる”ことよりも“売る”ことへと、作家も画廊もあきらかに意識がシフトしていることは確かだろう。開催を重ねるごとに、“アートフェアでの戦い方”というものも出来つつあるように思う。
「NiCAF YOKOHAMA'93」で初めて観たあの迫力と華やかさは、いまだに自分の憧れとして強烈に焼き付いている。作家も画廊も、普段の画廊空間での発表では満たされない何かを、アートフェアという場所に思い切りぶつけてくるような、そんな夢があったように思う。しかしよくよく考えてみれば「アートフェア」なのであって「アートショー」ではないのだから、今が正しい姿なのだろうか?難しいね。ご覧になった皆さんはどう感じられたのだろう?
僕自身の答えは……
もし、また次回出展の機会があれば、その時に作品で回答したいと思う。
(2008.05.16 おおもり・あきお/彫刻家) |
|