60年代アメリカ映画100
石澤治信、渡部幻・編
1960年~1969年。
「ニューシネマ」がすべてではない。豊穣なる世界を見よ!!
「60年代アメリカ映画」と聞いて、
人々の記憶に何が呼び起こされるのだろうか。
時代の幕開けとともにアメリカは、若き大統領J.F.ケネディを迎え、公民権運動、ベトナム戦争を通過して混沌の季節に入った。一方50年代から引き続く表現の革新は、次第に政治性を色濃くしつつカウンタカルチャーとして結実、変革の波は燃え上がった。
やがてアメリカ映画も変革の時代を迎える。ハリウッドの外から、アンダーグラウンド作家やテレビ出身のインディペンデント作家たちが表現の枠を拡張、B級映画がより猥雑な視野で若者の人気を獲得。没落寸前だったハリウッドにも影響が及び、世間をあっと言わせたのは67年。『俺たちに明日はない』と『卒業』の登場によってだった。
しかし、ニューシネマ以前を含めた60年代をあらためて俯瞰したとき、黄金時代を知るベテラン、中堅、そして独立独歩の異端児たちが入り乱れた多様性のなかに、加熱した過渡期的諸相が見て取れるのである。
とかく見過ごされがちな前半期を含めた10年として見つめ直し、60年代を10のコラムとカタログ100で検証します。
※シリーズ前作同様、付録「60年代クロニクル」つき。
【コラム・インタビュー・対談一覧】
- 生井英考「60年代アメリカ社会総論」
- 粉川哲夫「60年代アメリカ映画のメディア的側面」
- 川本三郎「ケネディの登場によってアメリカ映画が変わりはじめた」
- 大久保賢一「オルタナティヴなアメリカ映画の誕生」
- 高崎俊夫「60年代映画とジャズをめぐる私的断章」
- 原田眞人「FKLPと60年代アメリカ映画監督再考」
- 芝山幹郎「アンチ・アカデミーの視点から見る60年代アメリカ映画の様相/アメリカンB級スピリットの侵攻」
- 柏原寛司「60年代、個性派男性スターたちの光芒」
- 上島春彦「プロダクション・コードの消滅」
- 大森さわこ「アメリカ映画を揺さぶったコーマン・スクールの不良たち」
- 小野耕世×髙平哲郎「時代の揺らぎを映す60年代アメリカ映画の愉楽」