70年代アメリカ映画100
渡部幻・主編
1970年~1979年。
失意の10年に隆起した映画史上最大の革新を検証する。
映画史に燦然と輝く70年代における「アメリカンニューシネマ」の隆盛。
それは、映画によって人間性の暗闇にスポットを当て、タブーに斬り込み、批評性を獲得しようという挑戦だった。
泥沼化するベトナム戦争、ウォーターゲート事件などを象徴とする、既存の価値観への大いなる不信が映画を一層先鋭化させていく。
しかし人は悲嘆にくれてばかりもいられない。
時を経てその先鋭に人びとが疲れを覚え始めたとき、魔法が解けたように再び映画は娯楽性を獲得し、80年代へと流れていくのだ。
戦後アメリカ映画史においては「最も革新的だった時代」と語り継がれてきた70年代。
映画ファンの思い入れが深いこの10年に、現在の視点を盛り込み、10のコラムとカタログ100で検証します。
※シリーズ前作から32頁増!! 付録「70年代クロニクル」つき。
【コラム・インタビュー・対談一覧】
- 大場正明「70年代アメリカ社会総論」
- 粉川哲夫「70年代アメリカ映画のメディア的側面」
- アレックス・コックス「反逆児ホッパーによる最期の映画──アヴァンギャルド、イノセンス、アンチハリウッド」
- 川本三郎「ヴェトナム戦争後の故郷への回帰」
- 滝本誠「Touch a Touch a Touch me, I want to be dirty」
- 町山智浩「アカデミー作品賞に見る70年代アメリカ映画界の様相 ハリウッドルネッサンスの衝撃と没落」
- 生井英考「醒めながら見る悪夢 70年代ヴェトナム戦争映画私誌」
- 高崎俊夫「アルトマンとペキンパーの七〇年代」
- 大森さわこ「新しい価値観と自由を求めて 70年代ハリウッド女優論」
- 河原晶子「アメリカン・ニュー・シネマとロックの時代の遺産を再考する」
- 対談:鈴木慶一×北沢夏音「70年代の虚ろを埋めた深遠なるアメリカ映画たち」