田村空谷
KUKOKU TAMURA WORKS―1963-2011
田村空谷・著
書は現代において文学であり、音楽であり、
舞踏であり、そして美術である。
書の前線で、その可能性を追求してきた田村空谷の、
鮮やかな疾走。73作品掲載。
【構成】
「吃音シリーズ」「円シリーズ」「円と方シリーズ」「瞑想シリーズ1・2」「古代幻想 シリーズ1・2・3」「絵文字空想シリーズ」、愛蔵印、空谷短文、年表、ほか。
解説
宇野雪村、山田直、鈴木史楼、中村秀樹、石崎浩一郎、吹田文明、末永照和、田宮文平ほか、章ごとにその時点の評論を収載。
「優れた視覚芸術は、同時代性と伝統、国際性と民族的資質を兼ね備えているはずだ。そう考える私にとって、空谷さんの書が持つ黒と白の純化された構成、抽象による独得の律動感は、その相反する二つの要素を統合する魅力的な世界として映るのである。」
【石崎浩一郎】
「田村空谷のイメージの世界は、書と絵画の両棲的な振幅が大きくなる。それを田村空谷は苦にするというよりは、書の境界を飛び出し、また、戻ってくることをむしろ『連続性』として楽しんでいるかのようでもある。」
【田宮文平】
「そこには画家たちを嫉妬させるような試みもあれば、書家にしてはじめて可能な実験もあった。なによりも自由に動きまわる線や色彩や水の流れに、ミロやクレーやフランシスへの親近感も超えた、空間と間、エスプリと美の感覚にたいする、じつに由緒ただしい才能を僕は感じないではおれなかった。」
【末永照和】