リアリズム絵画入門
野田弘志・著
絵画の原点にして究極──。
ダ・ヴィンチ、フェルメールの凄さの秘密がここにある!
《リアルズム絵画》という“生き方”を選んだ画家が、
その実践と哲学を綴ったこれまでにない本格的指南書。
リアリズム絵画とは、目に映るものを画面に描きとり、あたかも現実がその画面の中にも存在するかのように創造される絵画です。それはラスコーの洞窟壁画にまでさかのぼる絵画史の原点であり、レオナルド・ダ・ヴィンチやフェルメールにつながる究極の絵画手法でもあります。本書は、リアリズム絵画の第一人者である著者が、半世紀以上をかけて探求してきた画法および思想、哲学を集大成した本格的指南書です。リアリズム絵画は写真と何が違うのか?高度に開発されたデジタル技術を前に、手で絵を描くことに一体どんな意味があるのか?そのような絵画制作の根幹を揺るがす問いが突きつけられる現代、あえてリアリズム絵画という“生き方”を選んだ著者の、リアルな葛藤と切実な制作への想いまでもが垣間見られる本書は、本格的にリアリズム絵画を学ぼうとしている人たちばかりか、これから画家として生きていこうというすべての人たちに示唆深い本質的な内容を孕んでいます。
【目次】
序章 なぜいまリアリズム絵画を描くのか
第1章 絵画と写真はどう違うのか
第2章 制作入門篇 デッサンとは何か
第3章 制作心構え篇 視ること・考えること
第4章 本制作篇 油彩画で人間を描く
第5章 空間を描く フェルメール「牛乳を注ぐ女」
第6章 リアリズム絵画の歴史と思想
第7章 終わりなき創造 ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」
第8章 死すべき命を見つめる
第9章 存在の神聖を視るために
【プロフィール】
野田弘志(のだ・ひろし)
1936年、韓国全羅南道生まれ(本籍は広島県)。57年、東京藝術大学美術学部油画科に入学。62年、白日会会員(~98年)。70年、初個展(銀座・三越)。83年、朝日新聞連載小説『湿原』(加賀乙彦著)の挿画担当。88年、野田弘志展(有楽町アート・フォーラムほか)。90年、94年、ベルギーで個展(ヴェラヌマン美術館)。91年、安田火災東郷青児美術館大賞を受賞。 94年、宮本三郎記念賞を受賞。95年、広島市立大学教授就任(~2005年)。05年、北海道伊達市に「野田・永山塾」開講。07年、回顧展「野田弘志・写実の彼方に」が日本橋高島屋ほか全国巡回。