墨海抄
方 瑞 生・編輯 井垣清明 / 塩谷章子 訳・注
中国・明代の墨匠・方瑞生が編輯した
墨譜『墨海』(明・1620年?)。
同書に収録された墨をめぐる故事・逸話を、
美しい墨譜を交えて、ここに紹介。本書の底本となった『墨海』を収録した『渉園墨翠』全十四冊は稀覯本で、一般には知られていない。その刊本もさほど流通してはいないようである。それゆえ本書の刊行によって『墨海』なる書物が知られるようになるであろう。
本書の見どころあるいは読みどころのひとつは、各話と関連する図を外輯の墨譜から八十四図示しているところにある。墨をいくら論じたところで、
その形状や模様が具体的にわからなければなるまい。墨譜は墨の記録の一方法である。
── 石田肇氏の前書きより