魁心が書く 奥の細道
幕田魁心・書 幕田翠玉・文
書作品の鑑賞と創作するための、ヒントが満載!
名言名句の宝庫「奥の細道」の50句を題材に、
字かな交じり書のコツと楽しみ方を紹介。
【本書の特色】
◆芭蕉の俳句のみ(五〇句)を取り上げ、現代書の「漢字かな交じり書」の手本として、また作品鑑賞の手引きとして、作品を掲載。
◆作品は、詩情を表現したもの、墨の濃淡・筆の特性を生かしたもの、古典の筆法に基づくものまで多種多彩。
◆漢字かな交じり書のさまざまなパターンについて、書作のポイントとコツを伝授し、初心者から上級者まで活用できる。
◆句の現代語訳、句を理解するのに役立つ解説文のほか、芭蕉の生涯に触れたコラム、風景写真も収載。
資料「奥の細道旅の行程」収録
【目次】
まえがき
奥の細道 風景写真
基本的な筆の使い方
さまざまな筆による「はる・春」の表現
奥の細道 冒頭
草の戸も 住替る代ぞ ひなの家
行く春や 鳥啼き魚の 目は泪
あらたふと 青葉若葉の 日の光
しばらくは 滝にこもるや 夏の初め
夏山に 足駄を拝む 首途かな
木啄も 庵はやぶらず 夏木立
野を横に 馬引き向けよ ほととぎす
田一枚 植ゑて立ち去る 柳かな
風流の 初めや奥の 田植ゑ歌
世の人の 見付ぬ花や 軒の栗
早苗とる 手もとや昔 しのぶ摺
笈も太刀も 五月に飾れ 紙幟
笠島は いづこ五月の ぬかり道
桜より 松は二木を 三月越し
あやめ草 足に結ばん 草鞋の緒
夏草や 兵どもが 夢の跡
五月雨の 降りのこしてや 光堂
のみしらみ 馬の尿する 枕もと
涼しさを 我が宿にして ねまる也
這出でよ かひやが下の ひきの声
まゆはきを おもかげにして 紅粉の花
閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声
五月雨を あつめて早し 最上川
ありがたや 雪をかほらす 南谷
涼しさや ほの三日月の 羽黒山
雲の峯 幾つ崩れて 月の山
語られぬ 湯殿にぬらす 袂かな
あつみ山や 吹浦かけて 夕すずみ
暑き日を 海に入れたり 最上川
象潟や 雨に西施が ねぶの花
しほごしや 鶴はぎぬれて 海すずし
文月や 六日も常の 夜には似ず
荒海や 佐渡に横たふ 天の川
一つ家に 遊女も寝たり 萩と月
早稲の香や 分け入る右は 有磯海
塚も動け 我が泣く声は 秋の風
秋涼し 手ごとにむけや 瓜茄子
あかあかと 日はつれなくも 秋の風
しほらしき 名や小松吹く 萩すすき
むざんやな 甲の下の きりぎりす
石山の 石より白し 秋の風
山中や 菊はたをらぬ 湯の匂ひ
今日よりや 書付消さん 笠の露
庭掃て 出でばや寺に 散る柳
物書きて 扇引きさく なごりかな
月清し 遊行の持てる 砂の上
名月や 北国日和 定めなき
寂しさや 須磨にかちたる 浜の秋
浪の間や 小貝にまじる 萩の塵
蛤の ふたみに別れ 行く秋ぞ
コラム1 俳句への道
コラム2 芭蕉と俳諧 1
コラム3 芭蕉が見た松島と象潟
コラム4 芭蕉と俳諧 2
コラム5 奥の細道の旅
奥の細道 旅の行程
参考資料
あとがき
著者紹介
【展覧会案内】
幕田魁心展―奥の細道―
会場 中尊寺 本堂(岩手県平泉町)
会期 2020年10月12日(月)~18日(日)
9:00~16:30(最終日15:00まで)
会場 月の沙漠記念館(千葉県御宿町)
会期 2020年9月24日(木)~11月23日(月)
9:00~16:30(休館日・水曜日)
【プロフィール】
幕田魁心 (まくた・かいしん)
1947年、福岡県北九州市に生まれる。1963年、福岡県立戸畑高等学校入学。豊島嘉穂先生に指導を受ける。1967年大東文化大学中国文学科入学・安藤搨石先生に師事。1971年大東文化大学中国文学科卒業。千葉県立高等学校教諭として30年間勤める。2001年より千葉大学にて13年間書道を指導。現在、魁心書法院主幹。
【著書】『極める! シリーズ』全6巻、『創作への道』全6巻、『百人一首』、『一字書~五字書』全7巻、『書になった童謡たち』、『一期一会』他。高等学校書道教科書執筆
【個展】29回(銀座鳩居堂画廊、東京銀座画廊美術館、菱川師宣記念館、北京、ニューヨーク、パリ日本文化会館2回、他)
【作品収蔵】パリ・マドレーヌ寺院、ニューヨーク総領事館、韓国芸術殿堂、中国紹興市博物館、米国・メリーランド州立大学、中尊寺、等
【叙勲】アンクラジュマン・ピュブリック(フランス)、社会功労奨励勲章(グランド・オフィシエ)受章
幕田翠玉(まくた・すいぎょく)
1948年、大阪市に生まれる。1967年、大東文化大学日本文学科入学。今関脩竹先生に師事。1971年、大東文化大学日本文学卒業。1973年、幕田魁心と結婚(旧姓・美濃)・書道教室を開講。現在、魁心書法院副主幹・箏曲生田流正派邦楽会大師範・あけぼの会会主
【叙勲】アンクラジュマン・ピュブリック 芸術奨励章(グランド・オフィシエ)受章