忘れ得ぬ書人たち
田宮文平・著
次世代に届けたい、熱き時代の「書の仕事人」の足跡。
雑誌「墨」の連載13本に、
著者渾身の書き下ろし2本と総論を加え、再構成。
書表現の可能性を追求した書人たちの残した仕事を通して、
これからの書の課題と可能性を指し示します。
【本書の内容】
■総論
Ⅰ「二十一世紀の書」のエンジン
Ⅱ 挑戦者への期待
■忘れ得ぬ書人たち16人
大澤雅休・大澤竹胎 忽然と消えた書世界の〝写楽〞
内田鶴雲 大字かなの記念碑「水の変態」
松丸東魚 搜秦模漢の生涯
飯島春敬 かな書道隆盛の立役者
広津雲仙 豊穣なる〝借り衣〞の書思想
千代倉桜舟 宇宙に達する〝書〞巡礼の旅
森田安次 不滅の金字塔「風の又三郎」
徳野大空 伝統の書線でえがく美術的な視覚造形
近藤摂南 人としての実存を書に托して
駒井鵞静 先鋭的で果敢な実験が、国文の書の可能性を示す
今井凌雪 碑学、帖学の両輪に支えられたクールな視点
中島司有 交錯する混沌と秩序——そのアウフヘーベン
山内 観 世俗と一線を画す高貴の精神
大溪洗耳 風雲児が残した、正統の仕事
金子卓義 書表現を世界に解き放つ——後進に残された課題
【プロフィール】
田宮文平(たみや・ぶんぺい)
昭和12(1937)年、東京小石川生まれ。書評論家。大東文化大学中国文学科中退。美術書などの編集を経て、近代・現代の書学、書道史、書評論の執筆にとりかかる。父は書家の中台青陵。著書に、『吉田苞竹』(西東書房)、『評伝金子鷗亭』(共著、毎日新聞社)、『書/20世紀の巨匠たち』(天来書院)、『「現代の書」の検証』・『「現代の書」の検証2』・『現代かな概説』(芸術新聞社)、『漢字かな交じり書の名品』(共者、天来書院)、『名書散策』(全日本美術新聞社)などがある。