Home人文戦争画リターンズ──藤田嗣治とアッツ島の花々

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判型 : 四六判 上製
頁数 : 424頁
定価 : 2,860円
発刊 : 2015年4月15日
ISBN : 978-4-87586-436-3 C0021



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戦争画リターンズ

──藤田嗣治とアッツ島の花々

平山周吉・著


名画「アッツ島玉砕」が啓示する昭和史。凄絶な玉砕シーンに、藤田嗣治が丹念に描き込んだ「死者の傍らに咲いている花」はいったい何を語りかけるのか? 英霊たちが眠る、厳寒のアッツ島には終戦七十年の秘密が冷凍保存されている。


【目次】
第一章 敬礼される絵画「アッツ島玉砕」
第一回 会田誠のもう一つの戦争画シリーズ「裸でごめんなさい」
第二回 松本竣介の「貴方達は、続けて戦争画を描かれたらいい」
第三回 「アッツ島玉砕」にムラムラした会田誠と、反戦を感じとった
    野見山暁治
第四回 上野の山で『アッツ島玉砕』を見た山田風太郎青年
第五回 藤田嗣治、陸軍高官に「アッツ島玉砕」を御説明申し上げる
第六回 「アッツ島玉砕」、みちのくの老いたる見物人と出会う
第七回 戦争画、天覧の光栄に浴す
第八回 昭和天皇は「アッツ島玉砕」を御覧になったか?
第九回 新藤兼人は「アッツ島玉砕」の兵隊の目に恐怖した
第十回 昭和二十年、「アッツ島玉砕」の行方
第十一回 「日本を捨てたのではない、捨てられたのだ」と藤田は言った
第十二回 さようならニッポン、バカヤロー藤田
第二章 「アッツ島玉砕」を凝視する
第十三回 「死にくたばる」草森紳一に導かれて、「アッツ島玉砕」に
     再会する
第十四回 「アッツ島玉砕」に描かれた「死者の傍に咲いて居る花」
第十五回 鶴田知也の小説『アッツ島』が発売延期となる
第十六回 上演されなかった川口松太郎の芝居「アッツ玉砕」
第十七回 少国民は「アッツ島玉砕」のトリビアな細部を見ていた
第十八回 草森紳一の父・草森義経はアッツ島へ派遣されるはずだった
第十九回 オカッパ頭の世界大戦から「河童頭新体制」へ
     ——フジタの戦争
第三章 オカッパを切った藤田嗣治の坊主頭時代
第二十回 もう一枚の「哈爾哈(ハルハ)河畔之戦闘」の死屍累々
第二十一回 注文の多い軍人たち、注文に応じる坊主頭の藤田画伯
第二十二回 藤田嗣治が装幀したノモンハン戦車撲滅戦戦記『ノロ
      高地』
第二十三回 五十四歳の藤田嗣治、宙返りの戦闘機に乗り込む
第二十四回 井伏鱒二がシンガポールで見た、兵隊思いの藤田嗣治
第二十五回 「私の右の腕は陛下に捧げ奉ったもの」と藤田は書いた
第二十六回 「アッツ島玉砕」はコレクター平野政吉に贈られる
      はずだった?
第四章 英霊の島アッツへ
第二十七回 会田誠の「父」三島由紀夫が詠んだアッツ島玉砕の和歌
第二十八回 会田誠の「祖父」小林秀雄が語った「アッツ島に現れた
      思想」
第二十九回 太宰治は、アッツ島の小説の題を「玉砕」から「散華」に
      改めた
第三十回 太宰治の弟子・三田循司の父は、アッツ島墓参で息子の遺体
     を見つけたくないと思った
第三十一回 山崎大佐の遺児・保之は、アッツ島で
      「血が凍ったような真ッ黒なユリの花」を手折った
第三十二回 阿川弘之は、昭和四十四年にアッツ島取材を無鉄砲
      にも敢行した
第三十三回 ドナルド・キーン少佐は、初陣でアッツ島に上陸し、
      日本兵の死体を見た
第三十四回 瀕死の山崎保代大佐は、もがきながら銃口をこめかみに
      あてた
第三十五回 アッツ島の山崎保代大佐に送られた桜の押花
第五章 花々の島アッツ
第三十六回 東条英機のあわてぶり「半月以内にアッツの飛行場を
      完成せよ」
第三十七回 昭和天皇、アッツ島の戦況についての御軫念と怒り
第三十八回 アッツ島で花を撮影していた陸軍報道班員・杉山吉良
第三十九回 視界が四分の一になっても、杉山吉良はアッツ島の
      花に執着した
第四十回 ハッチスン女史はアッツ島滞在三時間で、六十九種の植物
     を採集した
第四十一回 北大の舘脇操は、昭和四年に植物採集でアッツ島を訪れ
      ていた
第四十二回 ヴェールを脱いだ「平和を愛する、科学者天皇」
第四十三回 キスカ島の植物標本を献上した峯木十一郎司令官
第四十四回 「天皇の島」ペリリュー島への慰霊
第六章 戦争画が還ってくる日
第四十五回 高倉健が山崎大佐を演じていたならば
第四十六回 火野葦平が感動した万年一等兵の戦場写真
第四十七回 岡本太郎の怒り爆発——フジタへの憤りと軽蔑
第四十八回 「ゲルニカ」のピカソへ宛てた、藤田嗣治の手紙
あとがき

掲載・関連情報他


【プロフィール】
平山周吉(ひらやま・しゅうきち)
昭和27(1952)年、東京生まれ。慶応大学文学部国文科卒業。出版社で雑誌、書籍の編集に従事した。現在、雑文家。「新潮45」「週刊ポスト」で書評を執筆中。著書に『昭和天皇「よもの海」の謎』(新潮選書)がある。