カワイイ!
少女お手紙道具のデザイン
大正・乙女デザイン研究所
北島 都 / 山田俊幸 編
大正から戦前昭和に花開いた「少女の手紙」に着目しました。とくに彼女たちの文房四宝というべき、凝った便箋、凝った封筒、封をする凝ったシールの実物の数々の紹介に努めました。
どの便箋を選ぶか、どの封筒を使うか、シールはハートにしようかなど、すべてが綾なしているのです。それらを折々に組み合わせ、手紙という一通の封じられた作品を作り上げ、一人の相手に送ることが、自らの気持ちを込めた精一杯の行為だったことを、知ってもらいたかったからです。
掲載したものは、大好きだったお祖母様が遺されたものを、お孫さんが大切に受け継いだ貴重な絵封筒の数々や、研究者諸氏の貴重な収集品の中から選んだものが主です。
夢と不安、想像力と張りめぐらされる触覚、少女たちがそれぞれの思いを刻んだペンやインクにも及びたかったし、各人が趣向を凝らした実際の手紙をそのまま掲載したかったのですが、それにはページに限りがあります。翻刻された実際の手紙文を読んで、どうぞ字面を想像してみてください。この手紙類についても時をこえ、監修者が古書展で見つけたものをまとめて入手したことが、今回の皆さんへのお目見えにつながったといういきさつを持っています。
山田俊幸(日本近代文学研究者)と、そのもとに集う、気鋭の大正・昭和乙女文化研究者たちによる、はじめて尽くしのご紹介です。
【目次】
- はじめに
- 第1章 ブリコラージュ
- 絵封筒
- コラム 受け継がれる絵封筒コレクション
- 便箋
- 封緘紙
- 第2章 エクリチュール
- 手紙1 さき子宛
- 手紙2 つや子宛
- 手紙3 みどり宛
- 第3章 コネッサンス
- 大正少女花言葉
- 女学生隠し言葉
- 手紙の書き方本あらかると
- あとがき
掲載情報他
【プロフィール】
■編集・執筆
北島 都
少女文化研究者、大正・乙女デザイン研究所特別研究員
山田俊幸
大正・乙女デザイン研究所所長、日本絵葉書会会長
■執筆・翻刻
大内 曜
武蔵野市立吉祥寺美術館学芸員
高畠麻子
高畠華宵大正ロマン館主任学芸員
田丸志乃
高畠華宵大正ロマン館嘱託学芸員
嵯峨景子
明治学院大学非常勤講師
小林菜生
大正・乙女デザイン研究所委員