油うる日々
──明治の文人 戸川残花の生き方
目時美穂・著
幕末・明治・大正の激動の時代、“真面目に不真面目”を生きた人物伝。旧幕臣にして、明治初期にクリスチャン、文人、ジャーナリスト、教育家、禅僧……三千石の旗本家に生まれ、明治維新に朝廷に帰順した「裏切り者」「敗者」の立場からはじまった迷走(!?)の人生を追う。
【目次】
- 残花の行方
- 第1章 今や昔 三千石のお旗本
- 築地戸川屋敷
「勤王実効」の旗本
- 第2章 剣と十字架と筆
- 「遊学」時代
キリスト者となる
煉瓦の街で十字架を立てる
西国で地の塩となる
神のための筆、人のための筆
- 第3章 調和をもとめて
- 菅千春という人
記者をしてみる
一葉女史
「遊び」の俳句
ただひとつの神、教えではなく
- 第4章 紙の墓碑
- 旧幕臣として明治の臣民として
武士道なるもの
名前のない墓
- 第5章 古き袋をも猥りに棄てず
- ここにつくりし学校は
当世風『女大学』
和服でよし、洋服便利でよし
心胆奪ふ「日本教会」活動
- 第6章 喝、エーメン、南無阿弥陀仏
- 記憶樹が語ること
たぬき鼓と桜囃子
楽しき油うる日々
掲載情報他
【プロフィール】
目時美穂(めとき・みほ)
静岡県生まれ。明治大学文学部フランス文学専攻修士取得、博士後期課程単位取得満期退学。専攻研究のかたわら、明治時代の文化風習、文学に興味を持ち、在学中、古書情報誌『彷書月刊』へ。2010年の休刊号まで編集に携わる。