色 Colors
三山桂依 / プラープダー・ユン
色と言葉をめぐるシュールな物語を集めた短編小説集
タイと日本、それぞれの国と文化を敬愛する
2人のアーティストが、「色」をめぐる物語を紡いだ短篇集。
日本とタイから、それぞれ2色を選び、
共通のテーマとして色であって色でない「白」を取り上げた。
色と言葉をめぐるシュールな物語のオムニバス。
三山桂依から見た
タイの色〈山吹色・藍海松茶色〉、
日本の色〈銀鼠色・里桜色〉
そして、色であって色でない白〈白練色〉
プラープダー・ユンから見た
タイの色〈Magenta・Green〉、
日本の色〈Orange brown・Pale blue〉、
そして、色であって色でない白〈Ghost white〉
美しい憂鬱に満ちた世界の交感。
どの国にいようと変わらない彼らのトーン。
同じような強いまなざしで
生きるものたちを小さく照らす、
静かで少し苦い小説集です。
【よしもとばなな】
ことばの絵の具が降ってくる
思い出と予感に満ちた魂のパレット
狂った雪、寒桜、緑色の男たち……
滲みひろがる、切なく愛おしい物語
【港 千尋】
【プロフィール】
三山桂依(みやま・けい ミヤケマイ/美術家)
横浜市生まれ。青山学院大学文学部 英米文学科卒業。詩と小説の間をたゆたう言葉で紡いだ季節ごとの12篇を収めた短編集『おやすみなさい。良い夢を。』(講談社 2011)でデビュー。独自の透明な感覚で世界を見つめる。湿度や手触りを視覚的な言葉であざやかに表現し、日常の狭間へと読者を誘う。
プラープダー・ユン
1973年生まれ、バンコクに拠点を置くタイの小説家・アーティスト。多数の小説、短編小説やエッセイのコレクションを出版。2002 年に、短編小説集『存在のあり得た可能性(英題:Probability)』で、タイで最も権威ある東南アジア文学賞を受賞。 他、映画「地球で最後のふたり」「インビジブル・ウェーブ」脚本や、様々なアートプロジェクトにも協力。最新の小説は『パンダ』(東京外国語大学出版会 2011)