だれでも書けるシナリオ教室
岸川 真・著
シナリオを書きたい……
書き始めている……
書いているけれども壁を越えられない……
そんな人が共通に感じていることがあります。それは、既存の技法書は、難しすぎるということ。本書は、だれでも実践できるように、シナリオ執筆のドキュメントを交えながら、先輩口調でやさしく執筆の方法を指南します。
【ポイント】
- 1. シナリオとは、映画の設計図であることを解説
- 2. 映画にすれば人が面白いと感じるはずの、「自分の物語」の探し方を指南
- 3. ジャンルの法則を導き出して、それを使ってシナリオをつくる方法を提案
- 4. シナリオを3日で書く実践術をドキュメント形式で紹介
- 5. 厳しい映画界で生き残るための「ソフト制作力」の身に付け方を指導
【目次】
序
創作的便秘を治療します
狂気の旅へようこそ
第一講
シナリオの基礎
シナリオは「必要」から生まれる
ストーリーを語るだけがシナリオではない
シナリオは映画の設計図だ
シナリオは制約されてしまう
叙述は現在進行形で書く
「来る」と「行く」では撮る画が異なる
シナリオの書式は自由に
ト書きとセリフの書き方
ペラの一枚は、三十秒と考える
シナリオは将棋と似ている
シナリオの構成は三段階で考える
「実感」勝負がオリジナルを生む
好きなジャンルの映画を見極めよう
第二講
「型」から見る映画・シナリオ
映画には「型」がある
「型」を意識して、シナリオを書く
ホラーの型
アクションドラマの型
サスペンスの型
メロドラマ/ラブロマンスの型
ホームドラマの型
スポーツもの/青春ものの型
歴史もの/時代ものについて
コメディについて
プロットの書き方
プロットを型にはめてみる
キャラクタードラマかケースドラマか考えよう
ドラマを走らせる
心理をあらかじめ考えてみる
コンストラクション表を作成しよう
第三講
ドキュメント シナリオ・ライティング
一度は折ったシナリオの筆
まずはプロットを書く
三日でシナリオを書くことには意味がある
□一日目 発端編
書き出すまで
書き出しの一行
アクションシーンを別の映画に当てはめてみる
舞台となる場所をイメージする
過去の記憶を利用しよう
日常生活のリアリティを忘れずに
メインモチーフを取り上げる
生活環境も背景に据える
発端は複数の糸のからまりである
基本の型に立ち返る
発端の終わりを見つける
葛藤編前夜
□二日目 葛藤編
書かれてこそシナリオ
無駄な人物は消していく
人物の相関関係をハッキリさせる
模倣することを割り切る
小道具と音楽は練ったうえで指定する
先を急がないで
葛藤の頂点を作りだす
解決編前夜 糸をまとめる
□三日目 解決編
活劇を忘れない
実体験を思い起こす
必殺技もお約束のひとつ
ニュートラルな結末はありえない
ラスト前に「焦らし」を入れる
大団円でもシナリオは設計図
快作ならきっと認めてくれる
改稿には時間をかけて
第四講
新しい映画人のために
シナリオ採用に必要な条件
書き直しは納得したうえで
シナリオを書くのは楽しい
取材は書くうえでの確信を得るため
脚色こそ高度な技術が必要
テレビはアピールの連続
どうやったらプロになれる?
日本映画、これからの行方
感動には直流と交流がある
映画もかつては文学的だった
観客と映画を共作しよう
映画に時代の温度を投影させる
学術的映画教養なんかいらない
自分が生きている時間感覚こそ大切だ
アメリカ映画が持つ強力な物語作りの技術
ハリウッドとインディーズは循環できる
残された希望、日本のインディーズ
オルタナティヴ・ムービーで閉そく感を破ろう!
付録
「フレッシュ!」シナリオ全文
【プロフィール】
岸川 真(きしかわ・しん)
1972年長崎生まれ。作家、脚本家。山口大学中退、日本映画学校卒業。現在、同校講師。著書に『映画評論の時代』(佐藤忠男との共著、カタログハウス)『フリーという生き方』(岩波書店)『佃島・月島游記』(アニカ)『蒸発父さん 詐欺師のオヤジをさがしています』(バジリコ、映画化決定)『フリーの教科書 生き延びるための読書』(早美出版社)『半ズボン戦争』(幻冬舎、映画化を予定)など。