Leave me alone 山崎龍一
気鋭の彫刻家・山崎龍一が初の作品集
国内はもとより、ドイツ、台湾、韓国など、いま、国外からも注目されている気鋭の彫刻家・山崎龍一(やまざき・りょういち)が、初めてとなる「絵本のように楽しめる」作品集を上梓。白いパーカーをかぶったカワイイ子どもたちの彫刻が、どこか後ろ向きの言葉を連発します。例えば「そんなに見ても何も話しませんから」という言葉は、どこか人を遠ざけているようです。しかし一方、その目は寂しげでもあります。この裏腹な態度を見て、あなたはなにを感じるでしょうか?
その他の本文フレーズ
- もっと 感じ取って欲しい
- あのぉ~ どうしたらいいと 思いますか?
- 何も 欲しがりません
- いま 読みたいの
- 今日も 何も しませんでした
- いろいろ めんどくさい
- 政治とか 難しい話は しないでください
- いいですよ 一人でも楽しいから
- 中での生活の方が 快適です
- 今いいところだから 話しかけないで
- もう 迷惑なんです
- お願いだから まだ寝させてください
- そんなに見ても 何も話しませんから
- こんなところで 何してんだろう?
- いくら呼んでも 絶対でませんから
- 酒だけは 誰にも渡しません
- ホントに? ホントに怒ってない?
- 居なくなっても 知りませんよ
- あれも これも 欲しくなるんです
- 反省してます 表向きには
- 今日も 誰からも 着信がありませんでした
- 気がすむまで食べたいんです
- ぶぅ~
- 勉強きら~い
- 牛乳きら~い
- グリンピースきらい
- 知らない人ばかりで 怖いです
- お願いだから それ以上 近寄らないでください
- 毎日が平凡で 退屈です とにかく刺激が欲しいんです
- 捨てたらうらみます
- いつもどこかで こっそり 見てますので 気を抜かないでください
- いや もういいですから ほっといてください
著者コメント
Culture-bound syndrome(文化依存症候群)という対人恐怖症や摂取障害など社会や文化環境による心の病気をテーマに制作しています。
この作品たちは、大きめの白いパーカーを頭からすっぽり被ることで、自分以外の者の社会的接触を避ける心の壁を表そうと思いました。
ほとんどの作品は、展示空間の中央には置かずに隅っこや柱の影、天井などわかりづらいところに置くことによって内向的な感じを表しています。こっそり鑑賞者をうかがうような視線や仕草は、むしろ人とコミュニケーションをとりたがっているようにも見えます。気になりながらも自分からは近づかない、近づき方が分からないもどかしい姿が可愛らしくもありますが、こちらが近付こうとしてもあと少しの距離で拒絶される感覚にも陥ります。
この作品を通して現代における人と人との微妙なコミュニケーションの距離感を表現していきたいと思っています。
(あとがきより)
【プロフィール】
山崎龍一(やまざき・りょういち)
彫刻家
1976年 東京生まれ
2002年 東京造形大学造形学部美術学科彫刻専攻 卒業
2004年 東京造形大学造形学部美術学科 研究生修了
04年より本格的に作家活動を開始。
文化依存症候群(対人恐怖症、摂食障害など)という
心の病気をテーマに制作。
2009年7月には、3年に一度開催される大規模国際展
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ 2009」に招待出品。
国内外で注目される若手彫刻家。
HP →
http://www.yamazakiryoichi.com/